2012年11月17日土曜日

高校⑦「明確な、具体的な目標を置ける」ことの大切さ~旧帝大の高校別合格者数から読み解く~

今回は、なぜ地元に旧帝大がある地方のトップ校は旧帝大の合格者が多いのか
もっというと、「目標が明確である、目標が具体的であることって結構重要だよね」

っていうことを旧帝大の高校別合格者のデータ等を使いながら書いていこうと思っています。


旧帝大のある地域の中で、公立高校優位(公立高校受験がメイン)のエリアにある旧帝大をピックアップして合格者を見ています。
※首都圏や関西圏は私立中学受験が盛んで、全国的に見ると特殊であるため、一般的な状況を探るために、今回は公立高校優位のエリアにある旧帝大をピックアップしています。

データ①北大・東北大・名大・九大の高校別合格者数トップ20
(データは「教育進学総合研究所」の学校なんでもランキングを参照しています。)


大学毎の高校別合格者数の中で
・北海道大学は高校別合格者数ベスト20すべてが北海道の高校
 人数にして(ベスト2021校あるが)906名 ※合格者総数2,666

・東北大学は高校別合格者数ベスト20の内5校が宮城県の高校
 もっというとその5校とも仙台市内の高校  
 人数にして257名(5校計) ※合格者総数2,586

・名古屋大学は高校別合格者数ベスト20の内16校が愛知県の高校
 人数にして744名(16校計) ※合格者総数2,240

・九州大学が高校別合格者数ベスト20の内12校が福岡県の高校
 人数にして739名(12校計) ※合格者総数2,744

尚、名古屋大学についてはベスト20すべてが東海地方(愛三岐)の高校、九州大学についてもベスト20すべてが九州地方の高校となっています。
東北大学についても東北地方の高校が16校ランクインしています。
いずれにしても地元強しです。

ちなみに北海道・宮城県・愛知県・福岡県の人口を見てみましょう。
北海道人口:約548万人
宮城県人口:約233万人
愛知県人口:約743万人
福岡県人口:約509万人
人口的に見れば、東北大学に占める宮城県の高校の数が少ないのは頷けるでしょう。


これを示して、私は何が言いたいのか?
といいますと、
やはり「明確な目標・具体的な目標」があると大きいよね、頑張れるよねっていうことです。
高校時代に、こういったエリアのように地元に明確な目標となる旧帝大があることが、勉強に対しての大きな動機付けになるということです。

もっというと、こういったエリアの高校生は下記のような流れにあるのではないかと思いますね。

~明確な目標意識~
多分、小さい頃から、「この大学はすごいんだよ」って聞かされて育ち、尊敬や憧れの存在としてそういった大学を見てきたことでしょう。従って、こういった地域の高校生、特に上位高校の高校生は、「ああ、ここの大学に行きたいな」っていう強い想いがあると思うわけです。例えば、北海道であれば憧れの北大に行きたいと思う、北大を目指す、具体的な目標として意思を固め北大を目指すということが高校の早い段階でできます。
明確な目標意識を持ちやすいということですね。

~ロールモデルが身近にいる~
そして、自分の高校の先輩、地元の先輩が多く進学しているわけですから、憧れの存在(ロールモデル)が身近にいて、さらに、その先輩から大学に関することもいろいろ聞けたとしたらさらに、その大学に向けての志望動機が強まるでしょうし。その大学の受験に向けて、具体的なイメージができると思います。
あの先輩が入学したんだということで、それを自分におきかえて、具体的なイメージがしやすいということですね。

~その大学の合格に向けた対策の充実~
また、こういったエリアの高校では、ターゲットとなる大学が明確であり、しかも長年にわたって多くの進学者を出しているため、その大学の受験対策は充実しているだろうし、効率的に合格できるためのノウハウもあると思います。(近隣の塾も同様だと思いますが)その大学の受験に適した環境になっているということですね。

~最後の踏ん張りもきく~
小さい頃から尊敬や憧れの存在として見てきた地元の名門大学だからこそ「この大学に行きたい」をいう強い思い、他地域の生徒以上に地元の生徒ならではの、強烈に強い思いが、たとえちょっと実力が足りなかったとしても、最後の最後まで諦めないでやり遂げようとする、最後の最後まで踏ん張ってやる、そういった行動に繋がり、結果的に合格を手繰り寄せるのではないかと思うわけです。

まとめるとこんな流れですかね。
明確な目標を持て(意思を持って設定)、それがモチベーションとなる→そしてさらには身近にロールモデルもいてイメージがしやすい+先輩からいろいろ聞けるとさらに志望動機も高まる→モチベーションが高まってやる気が出ている中で、学校や塾でもその大学への受験対策は充実している(若しくは参考になる先輩が多い)→その大学を受験する環境が整っており、その大学に進学するための道筋も明確に提示されるのでドンドン力が付いてくる+最後の踏ん張りもきく→合格へ
こんな流れが出来ているわけですかね。

いずれにしても、こういった旧帝大があるエリアの高校の高校生は、上記の面からも結構なアドバンテージだなって思います。


では比較として
旧帝大がないエリアの県を1県見てみましょうか。

静岡県を見てみましょう。
静岡県は人口は約374万人。宮城県の人口よりは多いですが、北海道や福岡県にはちょっと少ない人口規模です。でも全国的に見れば人口が多い県です。
静岡県は東部・中部・西部と分かれていますので、2012年度の合格実績から、東部から1校、中部から1校、西部から1校、トップ校をピックアップします。(静岡県東部から富士高校、静岡県中部から静岡高校、静岡県西部から浜松北高校)

その静岡県の3校の2012年度の旧帝大の合格者実績は下記の通りです。
データ②


  
人工規模的に見ても、静岡県の上位高校が、北海道や宮城県や愛知県や福岡県の上位高校と比較してそこまで生徒の質的面で落ちるとは思えませんが(静岡県の生徒の質が低いとは私は全く思っていません。のんびりしているという地域性はあるかもしれませんが、生徒の質や能力的には変わらないと思います。)、データ①とデータ②を比較すると、何でっていう結果になります。(余談ですが、静岡高校は、静岡市の人口が約71万人のトップ校であるにも関わらず、この進学実績はふがいないですよね~(T_T)

ではなにが違うのか、そう、静岡県には旧帝大がないんですよね!!

静岡県にも静岡大学という国立大学があり、静岡大学は歴史的に見ても、実績的に見ても、非常に素晴らしい大学だと思います。幾多の優秀な人材を世に送り出していると思います。しかし旧帝大ほどのインパクトというか、憧れを持って目標とするっていうレベルまでは達していないのかなっていう感じです。(特に上位校の生徒においては)

従って、北海道・宮城県・愛知県・福岡県との違いの1つとして、旧帝大がないことで明確な目標を持ちにくいということが言えるのではないでしょうか。そのことが、3年後の進学実績に影響しているのでは・・・私の仮説ですが。

裏を返せば、静岡県にも旧帝大があれば、愛知県や福岡県等とかと同じような状況になっていたのではないかなと私は思います。
旧帝大がないエリアのトップ校出身の友達は、「地元に旧帝大があれば、全然モチベーションが違っていたのにな!目指すべき目標が高校入学して明確にできなかったのはよくないよな。俺の地元に北大があれば北大目指して頑張って合格して大満足って感じだよな~」って言っていましたね。(私も激しく同意!)
他にも何人かの友達からも近しい発言を聞いたこともありました。
高校に入った段階で、○○大学でこれをしたいといった明確な目標をもっている生徒なんて非常に少ないと思います。絶対○○大学だっていう生徒も非常に少ないですよね。だから目標とする大学っていうもの、なんていうか本当の意味で明確にもてないんですよね。(要は、志望動機が何かに紐づいているみたいな)まぁ、名大でも東北大でもいいな、神戸大もいいな、北大もなかなかよいな、そういえば、雑誌に慶應三田会の人脈みたいなことが書いてあったな~慶應もいいなってな感じでぐらぐらゆれますよね。
その点、地元に旧帝大があれば、地元のトップ校の生徒はまず、その地元の旧帝大を憧れを持って目指す、そこがスタートで、その過程の中で自分の実力を高めていく、そして、もっと上を目指せるじゃんって思えば、東大とか目指していく、そんな感じではないでしょうかね。


だから、明確な、具体的な目標を自分の中でしっかり置ける・完全に確定させているということが大切だよなっていう1つの例として、今回書かせていただきました。 

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