2012年11月23日金曜日

大学⑥見直される地方国立大 ~サンデー毎日2012年12月2日号~ 興味深い記事だな~!

以前、このコラムの中の「大学関連コラム」で旧制高等商業、旧制高等工業等の歴史を持つ優れた大学が地方の国立大に多くあり、伝統・実績は申し分なく、幾多の優秀な人材を実業界に送り込んできた、といったことを書きました。

こういった類いの話は私の興味があるテーマの一つなんです。

それで、
今回、
サンデー毎日2012122日号では「伝統に裏打ちされた研究力・就職力・・・見直される地方国立大」というタイトルで、伝統・歴史を持ついくつかの地方国立大学をフィーチャーしているではありませんか!
興味のある話なので、じっくり読んでしまいました。

記事の冒頭には
『国立大学の志願者数が増え続けている。その要因として地元志向や経済状況などがあげられるが、大前提として国立大のポテンシャルの高さがある。旧帝大などの難関大はもちろん、師範学校や旧制専門学校などが母体となって設置された地方国立大には、教育・研究面で優れた大学が数多くある。』と書かれています。
そんな書き出しでスタートしています。

内容も、
旧帝大、師範学校、旧制専門学校などから連綿と続く伝統を背景とした、その学校毎の歴史に裏打ちされたものがあるからこそ出せるその学校ならではの力(研究・教育・人材輩出等)にフォーカスして話が展開しているので興味深いわけです。


国立大学で紹介されている順に
信州大・繊維(前身:1910年創立 旧制上田蚕糸専門学校
山形大・工(前身:1910年創立 旧制米沢高等工業学校
新潟大・工(前身:1923年創立 旧制長岡高等工業学校
徳島大・工(前身:1923年創立 旧制徳島高等工業学校
九州工業大・工(前身:1909年創立 旧制明治専門学校)
岩手大・工(前身:1939年創立 旧制盛岡高等工業学校)
福井大・工(前身:1923年創立 旧制福井高等工業学校
小樽商科大(前身:1910年創立 旧制小樽高等商業学校
長崎大・経済(前身:1905年創立 旧制長崎高等商業学校
滋賀大・経済(前身:1922年創立 旧制彦根高等商業学校
香川大・経済(前身:1923年創立 旧制高松高等商業学校
鹿児島大(旧制第七高等学校を含む旧制諸学校が前身)

他、いくつかの大学名もあがっています。

この記事とあわせて、『主要56国立大徹底比較』と題して、志願者数・難易度・就職率・出身高校別合格者数等も掲載しています。


どういった研究で強みがあるのかとか、就職ではどういった点で強みがあるのかといったことのアウトラインがわかると思いますので、志望校選びの際など、結構役立つと思います。そして、改めて国立大学の存在感みたいなものも感じ取れるのではないかと思います。

一度、ご覧になると、結構参考になるんじゃないかなって思います。

・ちなみに九州工業大の就職についてはこんな記事もあります。併せてご覧ください。
『就職率95.3% 三菱重工や日立、九州電就職に最短距離の大学』(NEWS ポストセブン20121107)

・週刊朝日2004年1月16日号の『併願大学100パターン どっちに行くのが得か』という記事の中にこんな記載もありました。
以下抜粋
就職で、どっちが得か、の選択基準として、前出の千野氏(「週刊ダイヤモンド」編集部で大学特集を担当)があげるのは大学の「出自」だ。たとえば、やはり銀行への就職率では福島大、小樽商科大、滋賀大などの特定の地方国立大学が有利だ。つまり前身が旧制の高等商業学校だったり、経済専門学校だったりした大学で、全国で十数校ある。
「たとえば福島大経済学部は昭和24年まで東北で唯一の経済学部でした。その伝統から東北一円の金融機関にOBがいて、採用も前例主義なので福島大の枠があるんです」』
このように、
この記事でも旧制高等商業学校を前身とする国立大学の強みが紹介されています。

・こんな記事も
『国立大学唯一の「繊維学部」信州大学はなぜ守り続けているのか』(産学官連携ジャーナル 2009年7月号)

※参考まで
ちなみに、昔の大学の姿とか歴史とかそういったものや、旧制高校や旧制諸学校についてお知りになりたければ、この2冊がおすすめです!
『日本の近代12 学歴貴族の栄光と挫折』(著者 竹内洋 中央公論新書 1999年4月初版)
『学歴の社会史 -教育と日本の近代-』(著者 天野郁夫 新潮選書 1992年11月発行)

上記の2冊の本は、私が教育社会学の大学院受験の時に、大変お世話になった思い出の本です。直接試験に出るわけではないんですが、教育の中で必ず議論になる学歴というものを歴史の中で見つめていく考え方、歴史の中での学歴や学校のあり様、大きなフレームで学歴や学校を理解するという意味において非常に役に立ちました。

『日本の近代12 学歴貴族の栄光と挫折』は、私が教育社会学を志すきっかけになった非常に印象深い本です。書店で何気に教育系の本を見ていたときに、偶然出会ったのです。私も以前から旧制高校とかには関心があったのですが、私くらいしか興味がないものだと思っていたところに、この本と出会い、「何だ、何だ、こういったことを研究している方が世の中にいたんだ!面白い!」って非常に驚いたと同時に感動したことを覚えています。そして自分が進む道だっ!なんて大げさに思ったり。
『学歴の社会史』についても、『学歴貴族の栄光と挫折』に続く本はないかなって探していたときに出会った本です。
どちらも読み応えのある本です。理解しながら読もうとするとかなり時間がかかった記憶があります。
私は、詳細な内容は忘れかけているので、これを機会に改めて読み直して見ようかなと思ったりしてます。当時はあれだけがっちり読んだのに、情けない!(再度読むことで、忘れかけていることをしっかり思い出して、知識として頭に残しておきたいって思いますね!それくらい貴重な本だと私は思っています。)

興味のある方は、是非、読んでみてください。  

0 件のコメント:

コメントを投稿