2012年10月29日月曜日

学歴の影響力とはいつまで続くのか

読売新聞の記事(2012925朝刊掲載らしい)にこんな記載がありました。
私は最近、この記事をネットで見つけたのですが。


内容としては
・特に選抜初期段階で、学歴を選抜のツールとしているようです。
・採用後期は人物で判定された部分が大きいでしょう。
・入社した後の活躍ぶりと学歴は、あまり相関関係がないと感じている企業人は少なくないでしょう。

そんな内容でした。


はて、学歴の影響とは実際いつまで続くでしょうか?本当に就職の選抜初期段階だけでしょうか?未だもってはっきりしたことはいえませんが・・・

また、学歴の影響を就職というその1点においてはよく語られていますが、就職後の影響はどうなんでしょうね~。


以前読んだ本で、学歴の影響という部分に関連する記述がありますので、ちょっと紹介したいと思います。

その本とは『日本のメリトクラシー 構造と心性』(著者 竹内洋 東京大学出版会19957月)
です。
この本については、以前も紹介したことがありますが、日本の選抜システムの中でも受験・就職・昇進の構造等について書かれているものです。(目からうろこ、納得感満載、本当に面白い内容です!)
但し、初版が1995年ですので、データも昔のものを使っており、かなり前の研究結果になりますが、じゃあ今と違うんじゃないのかっていうと、そうとも限らないと思います。非常に重要な知見を提供してくれています。

本の中では「就職と選抜」の中でも面白い記載がありましたが、今回はこの本の中の「昇進と選抜」の部分で学歴の影響という部分だけにフォーカスして関連した興味深い記載を抜粋して紹介します。

以下抜粋
キャリアのパス解析にて(※事例調査企業は、創業は明治時代に遡る大手金融保険会社)
『(中略)大学の難易度は研修後配属先については大きな効果(.591)をもつこともわかる。さらに研修後配属先は課長職Ⅰの選抜に対してかなりの直接効果(.454)をもつこともわかる。研修後配属の直接効果の大きさは二つの解釈が可能である。研修後の配属決定がかなり正確に本人の能力を判定しているという研修後能力判定真正説がひとつの可能な解釈である。もうひとつは、この時期の配属が社会化と訓練効果を媒介にして、本人のその後の能力を決定するという自己成就効果説である。』

この本を読んだのは、まだ私がNTTドコモに勤めていた時代ですが、上記の抜粋した記載だけでなく、他の記載についても、当時、非常に納得感がありました。
上記の抜粋した記載については、自分の会社と照らし合わせてだけでなく、別の会社の大先輩とかに聞いた話もあり、納得してしまいました。

聞いた話とは、
(真偽の程は確かではないのですが)、「旧帝大等の難関大学卒業した人は、初期配属で優秀な先輩や業績の良い部署・支店に配属になる」と。
そうすることで、将来出世していくであろうエリートの方々との人脈ができたり、または業績が良い部署(良い業績が出やすい部署)に配属されたり花形の部署に配属されたりすることで早い段階からそれなりの成果を生むことができ、昇進にも有利になるんだろうなと、話しを聞いた時にそう思いました。
また、実際に配属されて仕事を任せるにしても難関大学出身者であれば、やはり周囲からは優秀であると思われていますので、それ以外の大学出身者に比べて難しい仕事(ストレッチ課題)を早い段階で与えられる機会が多いとも思います。ただ、それを活かすも殺すも本人次第ですが、早い段階で機会を与えられるという意味では難関大学出身者の方が有利ではないかと。そして、その機会を活かすことができれば、さらに難しい仕事(ストレッチ課題)を与えられ、さらに成長していく、そんな循環もあるのではないかと思いました。

余談ですが、
同じ会社に入社はするものの、学歴によって、幹部候補採用とそうじゃないソルジャー部隊採用や地方採用等のように、分けて採用するという会社もありましたし(今は知りませんが)。幹部候補採用であれば、昇進のスピードが違います(スキルをつける機会にも差があると思います)ので、こういったケースは入った時点の学歴で、明らかに昇進(スキルとつける機会)に差をつけられる典型的な例ですね。(国家公務員のキャリア採用がそれにあたると思いますが、民間企業でもありましたね。まぁ、一部の会社だと思いますが。)これは余談です。

何だかんだで学歴って、
こういったことをみていくと、例えば、昇進についても、そのラベルでの直接的な影響ではないにしろ、やはり形を変えて影響を与えているのかなって思いますね。
あくまで私の考えも含まれますが・・・

まぁ、こういった学歴についての議論は永遠に続くのでしょうが、何かの参考にしていただければと思います。




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